2015年、コーヒー業界を揺るがす論文が発表されました。「一杯の苦いコーヒー(A bitter cup)」と題されたその論文の結論は、「気候変動の影響を受けて、2050年にはコーヒー栽培に適した地域が半減する」というものでした。その後も様々な研究者が検証を重ねていますが、その結論は変わりそうにありません。日本では「コーヒー2050年問題」と呼ばれ、メディアで取り上げられるようになりました。
研究していること①:産地で今何が起きているか
コーヒー2050年問題という言葉は、「2050年までに解決すれば良い」という印象も世間に与えました。しかし、コーヒーの産地ではすでに様々な影響が出てきています。高温による不作、巨大ハリケーンの直撃、コーヒーの感染症の流行などです。壊滅的な被害を受けた生産者の中には、コーヒー生産を諦める人も出てきています。グアテマラではコーヒー農家の環境難民が発生しました。ベトナムでは、コーヒー農園をより儲かるドリアン畑に替える人も出てきています。こうした動きが加速すれば、将来的な「コーヒー不足」が現実のものになるかもしれません。各産地でどのような被害が起きているのか、その詳細を整理し情報発信しています。
研究していること②:コーヒー生産者の収入をいかに維持させるか
収穫量が減るということは、生産者の収入が減ることを意味します。そのため、生産者にとって気候変動は喫緊の課題になっています。そこで、いかにして生産者の収入を維持させるか研究しています。具体的には、豆から得られる収入が減るのであれば、豆以外から新たな商品を作る方法を研究しています。特に注目しているのは、コーヒーの果肉(カスカラ)と葉っぱです。世界には、習慣的にコーヒーの果肉を食べてきた地域、葉っぱをお茶として飲んできた地域があります。こうした文化に学ぶことも、気候変動時代のコーヒー生産者を支えるヒントになると考えています。
研究していること③:「新たな産地」の支援
温暖化でコーヒーの適作地域が移動すると、これまでコーヒーが穫れなかった地域が産地になる可能性があります。実際にチャレンジをはじめる動きは、日本を含めた各国で起きています。「新たな産地」で何が起きているのか、情報発信をしています。
コーヒー2050年問題に関する研究の紹介・成果はこちら
コーヒーと気候変動に関する研究
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- 2025/04/08 新刊『コーヒー2050年問題』が東京書籍より発売されます
- 2025/04/08 なごや地球ひろば「コーヒーから世界の今を考えよう -気候変動時代のフェアトレード」開催します!
- 2025/03/31 読売新聞「気になるサーチ」でカスカラ特集が組まれました
- 2025/03/01 読売新聞にてコーヒー2050年問題特集が組まれました
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- 2024/04/18 SBSラジオ「IPPO」にて、世界的なカカオ不足(チョコレート危機)についてニュース解説しました。
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- 2023/11/03 SBSラジオ「IPPO」にて、コーヒー2050年問題(気候変動とコーヒー)についてニュース解説しました。
- 2023/10/12 ワークショップ「どうして日本の人はゾウを食べないのですか」を開催しました
- 2023/10/02 論文(シンポジウム報告)「コーヒー2050 年問題とフェアトレードの現在―おいしいコーヒーを飲み続けるために私たちに何ができるか―」
- 2023/10/02 論文(シンポジウム報告)「気候変動とコーヒー生産者の応答 ―今,生産現場で何が起きているのか―」
- 2022/08/17 コスタリカの環境保全についてオンライン講座を開講します(8月26日)
- 2022/03/12 新刊『産官学民コラボレーションによる環境創出』発売のお知らせ
- 2021/09/16 新刊発売「なぜ自然保護区は麻薬取引を助長するのか」
- 2021/09/10 論文「カリブ海諸国におけるCOVID-19の影響―観光モノカルチャーの処方箋としてのフェアツーリズムへ向けて」
- 2020/10/18 巻頭言「with コロナ時代の環境研究の意義」
- 2020/10/18 論文「消費を通じたSDGsへの貢献―『環境化するフェアトレード』を事例に」
- 2020/01/19 NHKラジオにてコスタリカの環境政策について解説しました。
- 2018/03/18 論文「コスタリカのウミガメ観光における地域ガバナンス―積極的平和構築のツールとしての観光研究へ向けて」
その他、環境問題に関する研究の紹介・成果はこちら
生物多様性
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気候変動
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エコツーリズム
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